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連れてこられたのは人影もない渡り廊下だった。
「何ぃ?ここになんかあるの」
俺はめんどくさいそうに答えるといきなりそいつに胸倉を掴まれ、
「誰がオカマですってぇ!! あたしは、れっきとした女なんだよ、わかったかくそやろー」
今思うとコイツは本当に小学生だったのか?
「え、ごめん、気付かなくて」
「ごめんで済むかバーカ」
「じゃ、じゃあどうしたらいいの?」
「そうねぇ・・・じゃあこれからはあたしの言うことに従うこと、いいわね?」
「え~~~嫌…」
「いいわね!!」
「は、はい」
この日を境に俺の楽しい小学生活は崩れていき、代わりに奴隷生活が生まれた。
「そういえばあんたの名前なんだったけ?」
「え、忘れたの?・・・脳みそ鳥なみ?」
「なんか言った?」
「いや何も」
「ふ~ん、で名前は?」
「高杉 薫だよ」
「薫? かおるって言うの?」
「そうだよ、何で?」
「最悪だよ、あんたと一緒の名前なんて」
「一緒? かおる?」
「そう里山 香」
今思えばこの名前も最悪だった
この日を境に俺は香の言うことを聞き、鞄を毎日持ち、給食の好きなおかずも取られ、地獄のような生活を過ごした。
そして俺は香と同じ学校が嫌で猛勉強して違う中学に入り平穏な生活を取り戻した。
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