15人が本棚に入れています
本棚に追加
「これで……よし」
鏡の前に立ち、着慣れた制服に包まれた自分の姿を確認する。スカートの長いちょっと地味な制服は、私……いや、僕にとってはとても有り難い物だった。
何故なら僕は「女装」しているからだ。別にやりたくてやっている訳ではない。母に小さい頃から無理やり女の子にさせられていたし、今通っている高校も女学院だ。
2年になった今でも、元々知っている幼なじみの杏以外の生徒には、この事実は知られていない。というより知られたら多分、色々な意味でマズい。社会復帰出来ないくらいマズい。
兎に角知られてはならないが為に、今まで積んだ苦労は尋常じゃない。ましては女学院、イチ(女装)男子の僕にはとても耐え切れるものではない。
「正直溜まります……色々と」
最初のコメントを投稿しよう!