なりたくてなった訳じゃない

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  「明希ちゃーん! 愛してるー!」   「はいはい、わかったから落ち着こうね?」   背後からゾンビの様に登場した変態少女は、幼なじみの二宮 杏(にのみや あんず)。僕が男の子っていう事を知っている数少ない人間だ。   杏は何故か僕を本物の女の子だと思っている、否、思いたがっている。   理由は2つ、1つ目は百合思案だからだ。しかし僕以外の人にはそこまで懐いていない。   2つ目の理由は、あまり言いたく無いけれど、一番可愛い女(男)の子だかららしい。「杏ちゃん明希タンにふぉんりーらぶっ!」だとか。全く気持ち悪い。   しかしそんな杏でも、嫌いになる理由なんてひとつもない。根は良い子だしルックス抜群だし髪綺麗だし……とにかく何でも凄い子なのだ。   ただ直ぐに抱きつくのは些か遠慮してもらいたいものだが……。
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