「イチ」から始まる物語。

なりたくてなった訳じゃない

　
「あ、そう言えば……」

しかしこう良く見てみると、杏ってかなり可愛いんじゃないだろうか。いつも一緒だから特に気にかけたことは無かったけど、凄くもふもふしたくなるくらい可愛いかも……。

「明希ちゃん、聞いてる？」

「え、あーいや、杏があまりにも可愛かったからつい抱きしめたくなっちゃって……」

失言。いくらぼうっとしてたといえこれはマズい事を言ってしまった。杏にこのての事を言うと暴走してしまうのだ。

「明希ちゃんなら……いいよ？　私の何もかも見せたげるし何でもしてあげちゃうよ？　ギュってしていいよ？」

これはまた面倒臭い事になってしまった。このスイッチが入ると一日中引きずられる事になる。いつも以上にベタベタされて挙げ句の果てには押し倒されたりする。しかも可愛すぎるから尚質が悪い。