犬定食

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或日、犬を連れて散歩して居た。中央公園に差しかかる。日曜の夕方であるにも関わらず、人気は其れなりに在った。酒を呑みながらスパークする中年男性、ベンチで寝込む男。たむろう若い衆。各々が好きなように過ごして居た。しゃがみ込む女子高生も若い衆に混じり、同じく煙草を呑んだり、大声てでわめき散らす。 泣き寝入りを極め込む背広の男、クビにでもなったのだろう。中には先住民も混じって居た。そして、この様な事を話していた。 「怪我はどうですか」 「まだ少し…」と申し合わせの無さそうな返事をした。常連の若い衆に酷く遣られたと診得て、幹部をさすったり、打撲箇所を指で弄って遊んで居る。災難でしたなと云うとへえと生返事を返上する。相変わらず喧しい。気附くと、安い酒を分けて呑み始めた。傷だらけの男も失敬して戴いて居る。新米の男が差し入れた。
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