「夢を見る人達」

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「旅人さんですよね? ついさっき入国したっていう」 とある国に入国してから間もなく。オープンカフェで食事をしていたキノに、二十代頃の男が声を掛けた。 「はい。ボクはキノ。こちらは相棒のエルメス」 「どもー」 「キノさんにエルメスさん。突然で申し訳ないのですが是非!話を聞かせて下さい!僕は旅人になるのが夢なんです。お願いします!」 「えっと……。ボクでよければお話しますよ」 「本当ですか!? じゃあ早速失礼して…」 男がキノの向かいに座ったのを見計らって、エルメスは、 「国に入ってまだそんなに経ってないのに、色んな人に話を頼まれるよ。旅人に憧れを持つ人が多いの?」 「ああ、それはですね。この国では、学生から老人まで、幅広い層で“職場体験”が頻繁に行われているんですよ。だから、仕事や職業に興味を持つ者が少なくないんです。その中でも、滅多に話を聞く機会がない『旅人』や『冒険家』なんかは人気の的でして」 「学生達が、実際に職場に行って、仕事をお手伝いするというのは聞いた事があります。大人の職場体験というのも、それと同じなんですか?」 「はい、大体合ってますよ。ただ、学業を卒業した人達、つまり大人は、丸一日そこの社員になれるっていう体験が出来る様になります。『手伝』いではなく、社員としての仕事を請け負って、『働ける』んです」 「成程」「ふむふむ」 「ですので旅人さん。早速質問しても良いですか?」 「あ、はい。どうぞ」 「まず、具体的に何を持ち歩くんですか?」 「携帯食料と飲料水は基本ですが、他にも寝袋や、ボクの場合はエルメスの燃料とか、弾薬、それから…」 「弾薬って事は、旅人さんはパースエイダーをお持ちで?」 「え?ええ」  
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