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「アーサー。」
「ん?」
情事が終わった後ベッドに寝そべっていると、珍しくアルの方から甘えてきた。
いつもなら、腹が減ったとか何とかぬかしてすぐに食い物買いに走るのに、今日はべったりだ。
俺を離そうとしないアルの髪を撫でながら、煙草に火を付けた。
「で?今日はどうしたんだ?」
「…格好悪いから言わないぞ。」
ほんとにどうしたんだ?
頭でも打ったのかとか、考えてみたけど、こいつはそんなことでおかしくなる筈がない。
つうか、寧ろ最初からおかしい。
「今、俺に失礼な事考えただろう?」
「…そんなことねぇよ?」
「その間と疑問形は何なんだいっ!」
まったく、君は昔からそうなんだぞ。なんて嫌味を言われつつ…てか何で俺がそんなこと言われなきゃならねぇんだ。
ったく…
俺は煙草を灰皿に押し付けて、アルの方に向き直る。
「どうしたんだ?」
とうとう観念したのか、アルは頬を膨らませながら応えた。
「フランシスが…アーサーは俺が小さくないと駄目だっていつも言ってるって…。」
「は…?」
何だよ…こいつ、こんな些細な事で悩んでたのか…?
何か…愛しいな。
堪らなく、愛おしい。
今日くらいは素直に言って言っても、いいよな。
「俺はな、アル。俺が今まで見てきたお前全部が愛しいんだ。だから‥その、つまり…好きってことだ!」
「アーサー…。」
「大体、小さいお前に抱かれても楽しくねえよ。」
「そりゃあそうだよ!」
アルがにやり、と口角を釣り上げる。何たって、ヒーローだからね!とお決まりの台詞も忘れずに。
立ち直りのお早いことで。
調子のいいヒーローだぜ、ほんっとに。好きでもない奴に抱かれて楽しい奴がいるわけないだろ。
お前は俺を選べばいいんだよ!俺もお前を選ぶから。
仲直りのキスと精一杯の告白を貴方に。
(君となら)
(何度だって結ばれよう)
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