四月上旬

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  「ただいま」 「あ、おかえり百」  まず彼女を迎えたのは、一番上の兄の一。  『いち』と書いて『はじめ』です。 「そういえば、百に手紙が来てたよ」 「手紙? わたしに?」  今時文通とは、洒落てますなぁ。 「うん。ただ……」 「ただ?」 「差出人の名前も住所も、書いてないんだよね……」  ってなんだ、文通で青春じゃないのか。  一が白い封筒を持ってきて、表と裏を交互にして百に見せています。  ……うん、確かにない。 「どうする? 代わりに開けようか?」 「……うん」  ご丁寧に、ハサミで綺麗に封を開けていく一。  ──今A型って思ったあなた、早計ですよ。  現にA型な作者が、ご覧の通り自由気ままに書いてますから。  さて、気になる封筒の中身は……── 「…………」 「…………」 「…………」 「…………」  おぉっと二人して微妙な顔してるー。  おーい、なんて書いてあったんだーい?
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