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銀ちゃんがひとりで仕事に出かけて、早1時間が過ぎた。
「暇アルなー…」
ソファーにふんぞり返り、天井を見上げる。
新八はというと、部屋の掃除をせっせとしている。
…パシリみたい。
いや、実際パシリか。
「今、僕の事バカにしたでしょ?」
「…え?」
新八が掃除機をかける手を止め、私を軽く睨みつけた。
「なんでバレたアルか!?新八はエスパーだったアルか!?」
「顔見ればわかる…って、否定しろよッ!!」
バカみたいなやりとりは楽しく、新八をいじるのはもっと楽しい。
私は自然と頬が緩んだ。
新八はひとつ大きなため息をつく。
「はぁ…。あ、そうだ。暇なら定春の散歩に行っておいでよ」
あぁ、と私は手をぽんっと叩いた。
「なるほど、そうアルな。新八にしてはいい考えネ」
「その『新八にしては』ってのはやめてよ…」
新八はがっくりと肩を落とした。
「小さい事は気にしちゃ駄目ヨ。どっかのお笑い芸人も言ってたネ。んじゃ行くヨ、定春」
「わんっ」
定春は嬉しそうに吠え、先を行く私の背を追ってきた。
「行ってらっしゃい」
「行ってきますヨー」
新八に手を振り、定春の背に乗って、玄関を開けた。
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