第2章 傷

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銀ちゃんがひとりで仕事に出かけて、早1時間が過ぎた。 「暇アルなー…」 ソファーにふんぞり返り、天井を見上げる。 新八はというと、部屋の掃除をせっせとしている。 …パシリみたい。 いや、実際パシリか。 「今、僕の事バカにしたでしょ?」 「…え?」 新八が掃除機をかける手を止め、私を軽く睨みつけた。 「なんでバレたアルか!?新八はエスパーだったアルか!?」 「顔見ればわかる…って、否定しろよッ!!」 バカみたいなやりとりは楽しく、新八をいじるのはもっと楽しい。 私は自然と頬が緩んだ。 新八はひとつ大きなため息をつく。 「はぁ…。あ、そうだ。暇なら定春の散歩に行っておいでよ」 あぁ、と私は手をぽんっと叩いた。 「なるほど、そうアルな。新八にしてはいい考えネ」 「その『新八にしては』ってのはやめてよ…」 新八はがっくりと肩を落とした。 「小さい事は気にしちゃ駄目ヨ。どっかのお笑い芸人も言ってたネ。んじゃ行くヨ、定春」 「わんっ」 定春は嬉しそうに吠え、先を行く私の背を追ってきた。 「行ってらっしゃい」 「行ってきますヨー」 新八に手を振り、定春の背に乗って、玄関を開けた。 .
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