第2章 傷

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「わんっ」 定春の方を振り返ると、『水をくれ』と言わんばかりに吠えていた。 「ああ、定春ごめんネ。今、水用意するからネ」 水飲み用の容器を持って台所へと駆けた。 ―――ピンポーン 水を注いでいると、インターホンが鳴った。 「はーい」 新八が玄関へと小走りで向かった。 「あれ?桂さんじゃないですか」 …ヅラ? なんでヅラがこんなところに? そう思っていると… 「ぎ、銀さん!?」 新八の裏返った声が聞こえた。 不思議に思って台所からひょこっと顔を出すと、私はとっさに言葉が出なかった。 ヅラに肩を貸してもらっている銀ちゃんはぐったりとしていて、身にまとう白い着物はずたずたに破け血が散っていた。 「銀ちゃん!?」 私は容器を投げ捨て、銀ちゃんの傍へ駆け寄った。 「銀ちゃん、銀ちゃん!!」 何度も彼の名を呼ぶ。 泣きながら銀ちゃんにしがみつく私を、ヅラが手で制した。 「落ち着け、リーダー。怪我はひどいが命に別状はない」 ヅラの言葉にほっと胸をなで下ろす。 でもおびただしい血を見る限り、油断はできない。 「早く止血をしなければならん。新八君、銀時を部屋まで運ぶのを手伝ってくれ」 「は、はいッ!!」 「リーダーは布団の準備と、救急箱を用意を」 「わかったアル!!」 私はヅラの指示に頷き、素早く銀ちゃんの部屋に行って布団を敷き、救急箱をいつもしまっているところから引っ張り出した。 .
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