341人が本棚に入れています
本棚に追加
油断した。
まさか、依頼者がアイツだったなんて。
俺個人に依頼したっていうのも納得だな。
畜生…身体中が、痛い…
ここまで斬りつけなくてもいいだろうが。
俺の答えは、決まっているんだから。
「銀ちゃん…ッ!!」
…神楽?
暗い闇の中にいた俺は、声に導かれるようにそっと瞼を上げた。
そこには見慣れた天井と、涙で顔がぐちゃぐちゃの神楽がいた。
「銀ちゃん!!」
「銀さん!!」
「銀時!!」
神楽に新八に、それから何故かヅラが同時に俺の名を呼んだ。
そして神楽が嬉しそうに俺に抱きついた。
「よかった…目が覚めて…」
神楽は嗚咽を漏らしながら腕に力を込める。
ああ…また、心配かけちまった。
「ごめんな」
「ううん、大丈夫」
神楽がにこっと笑う。
俺は神楽を抱きしめ返した。
「銀ちゃん…?」
不思議そうに神楽は首を傾げた。
「…何でもない」
ぎゅっと腕に力を込める。
俺は、俺のために泣いたり、笑ったりしてくれるコイツを…
愛しいと思う。
だから…
コイツを護るために…
この笑顔を護るために…
そしてみんなを、仲間を護るために…
俺は―――…
.
最初のコメントを投稿しよう!