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銀さんが怪我をして帰ってから、何日か経った頃の昼下がり。
僕は万事屋に足を運んでいた。
「万事屋に行くの、久しぶりだなァ…」
もちろん、好きで休んでいたワケではない。
怪我をしていた銀さんは気になっていたけど、ちょうど姉上が風邪をこじらしてしまったのだ。
姉上は万事屋に行くように言ってくれたけど、病気の時は寂しくなるものだと思ったから、僕は姉上の傍を離れる事が出来なかった。
そういう事で、ここ数日間、万事屋に顔を出せずにいた。
「大丈夫かな、銀さん」
そう呟きながら階段を上がり、玄関を開けた。
「おはようございまーす」
………あれ?
何故か部屋は真っ暗だった。
ふたりとも、まだ寝てるのかな?
そう思って部屋の奥へ進むと…
ソファーの上で膝を抱えてうずくまっている神楽ちゃんがいた。
「神楽ちゃん?」
顔を覗き込むようにして声をかけると、彼女はゆっくりと顔を上げた。
その顔は、涙に濡れていた。
「しん…ぱ…ちぃっ…」
いきなり抱きつかれ、僕は少し後ろに仰け反ってしまった。
銀さんの身に何かあったのだろうか?
僕は神楽ちゃんの頭を優しく撫でた。
「…どうしたの?」
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