第3章 距離

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新八に頭を撫でられていると、だんだん気持ちが落ち着いてきた。 私は新八から身体を離し、ありがとうと呟いた。 「銀ちゃんが…あの日から帰ってこないアル」 「銀さんが?」 新八は驚いたように目を見開いた。 「でもまだ怪我治ってないのに、何で…」 「依頼された仕事を今日中にやらなきゃ駄目なんだ、って言ってたヨ」 「………」 新八は黙りこくってしまった。 しばらくの間そうしていて、ゆっくりと息を吐き出した。 「神楽ちゃん、銀さんを探しに行こう」 「…え」 私はばっと新八を見上げた。 「こんなところで、うだうだ悩んでいても仕方ないよ。それならこっちから探そう」 新八は笑顔でそう言った。 「…うんっ」 私もつられて笑顔になり、ソファーから立ち上がった。 新八、ありがとう。 少し見直したネ。 意外と頼りになる存在に、大きく救われた気がした。 「えと、それじゃ………どこから探そせばいいのかな?」 眉毛がハの字に垂れさせ、間抜けな顔をこちらに向けた。 …前言撤回。 さっきまでの頼もしい姿は、一体どこにいったのだろうか。 「やっぱり新八はダメガネアルな…」 そう言うと、新八はがっくり肩を落とし、ははは…と乾いた笑いをこぼした。 「とりあえず、ヅラのとこに行かないアルか?」 新八はああと言った風に手を叩いて、私の意見に賛成してくれた。 .
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