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新八に頭を撫でられていると、だんだん気持ちが落ち着いてきた。
私は新八から身体を離し、ありがとうと呟いた。
「銀ちゃんが…あの日から帰ってこないアル」
「銀さんが?」
新八は驚いたように目を見開いた。
「でもまだ怪我治ってないのに、何で…」
「依頼された仕事を今日中にやらなきゃ駄目なんだ、って言ってたヨ」
「………」
新八は黙りこくってしまった。
しばらくの間そうしていて、ゆっくりと息を吐き出した。
「神楽ちゃん、銀さんを探しに行こう」
「…え」
私はばっと新八を見上げた。
「こんなところで、うだうだ悩んでいても仕方ないよ。それならこっちから探そう」
新八は笑顔でそう言った。
「…うんっ」
私もつられて笑顔になり、ソファーから立ち上がった。
新八、ありがとう。
少し見直したネ。
意外と頼りになる存在に、大きく救われた気がした。
「えと、それじゃ………どこから探そせばいいのかな?」
眉毛がハの字に垂れさせ、間抜けな顔をこちらに向けた。
…前言撤回。
さっきまでの頼もしい姿は、一体どこにいったのだろうか。
「やっぱり新八はダメガネアルな…」
そう言うと、新八はがっくり肩を落とし、ははは…と乾いた笑いをこぼした。
「とりあえず、ヅラのとこに行かないアルか?」
新八はああと言った風に手を叩いて、私の意見に賛成してくれた。
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