序章

2/3
前へ
/95ページ
次へ
ある日の夜中。 俺は急に目を覚ました。 時計の針は2時半をさしている。 俺は覚醒しきっていない頭で、何故こんなに早く目覚めたのだろうとぼんやり考えた。 するとひとつの理由が思いあたった。 …嫌な夢を見たな。 そう、昔、護りきれなかった仲間の夢を。 相変わらず過去に縛られているなと、俺は自虐的な笑みをこぼした。 ため息をついてから、ぼーっと天井を見上げていると、ふと、右手に暖かな感触がある事に気付く。 不思議に思って目線を送ると、そこには不安そうな顔をした神楽が、俺の手を握りしめていた。 「どうした?」 上半身を起こして、神楽を見つめた。 「うなされていたヨ」 「俺が?」 そう聞くと、神楽はこくりと頷いた。 俺はそうかと呟いて、神楽の頭を優しく撫でた。 「起こしちまって悪かったな」 「大丈夫ネ」 神楽にしては珍しいな。 いつもは「夜更かしはお肌の大敵ネ」とか言って、殴りかかってくるのに。 こりゃ明日は雨だな。 ひとりでくすくす笑っていると、神楽が眉間に皺を寄せて俺を不思議そうに見た。 「何ひとりで笑ってるアルか」 「いや、何でもねェよ」 言えるかよ。 さっき考えた事を言ったら何されるかわかったモンじゃねェ。 「俺は大丈夫だから。ほら、早く寝ろ」 立ち上がって、ほれほれと寝るようにと促すと、神楽はしぶしぶといった様子で寝床に戻って行く。 しかし、くるりと振り返って俺を見上げた。 「一緒に寝ていいアルか?」 「はァ!?」 突然の言葉にデカい声を出してしまった。 一緒に寝るってお前… .
/95ページ

最初のコメントを投稿しよう!

341人が本棚に入れています
本棚に追加