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ある日の夜中。
俺は急に目を覚ました。
時計の針は2時半をさしている。
俺は覚醒しきっていない頭で、何故こんなに早く目覚めたのだろうとぼんやり考えた。
するとひとつの理由が思いあたった。
…嫌な夢を見たな。
そう、昔、護りきれなかった仲間の夢を。
相変わらず過去に縛られているなと、俺は自虐的な笑みをこぼした。
ため息をついてから、ぼーっと天井を見上げていると、ふと、右手に暖かな感触がある事に気付く。
不思議に思って目線を送ると、そこには不安そうな顔をした神楽が、俺の手を握りしめていた。
「どうした?」
上半身を起こして、神楽を見つめた。
「うなされていたヨ」
「俺が?」
そう聞くと、神楽はこくりと頷いた。
俺はそうかと呟いて、神楽の頭を優しく撫でた。
「起こしちまって悪かったな」
「大丈夫ネ」
神楽にしては珍しいな。
いつもは「夜更かしはお肌の大敵ネ」とか言って、殴りかかってくるのに。
こりゃ明日は雨だな。
ひとりでくすくす笑っていると、神楽が眉間に皺を寄せて俺を不思議そうに見た。
「何ひとりで笑ってるアルか」
「いや、何でもねェよ」
言えるかよ。
さっき考えた事を言ったら何されるかわかったモンじゃねェ。
「俺は大丈夫だから。ほら、早く寝ろ」
立ち上がって、ほれほれと寝るようにと促すと、神楽はしぶしぶといった様子で寝床に戻って行く。
しかし、くるりと振り返って俺を見上げた。
「一緒に寝ていいアルか?」
「はァ!?」
突然の言葉にデカい声を出してしまった。
一緒に寝るってお前…
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