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「いきなりどうしたよ?」
「別に何でもないヨ。一緒に寝ちゃ駄目アルか?」
「いや、駄目じゃねェけど…」
「んじゃ寝るアル」
言うが早いか、神楽は俺の布団に潜り込んだ。
俺はため息をひとつ吐き出すと、自分も布団に潜り込んだ。
神楽はじっと俺を見ている。
「何だ?」
「ううん、何でもないヨ。おやすみ、銀ちゃん」
そう言うと、神楽は目を閉じた。
しばらくすると小さな寝息が聞こえてくる。
「ったく…」
俺は呆れたようにため息をつくと、神楽の髪の毛をゆっくりと手で梳いた。
柔らかい髪がサラサラと揺れる。
神楽の安らかな寝顔を見つめながら、俺は小さく微笑んだ。
こんな時間がずっと続けばいいのにな…
でも…
そんな事は絶対にあり得ない。
いずれコイツは海星坊主(ハゲ)のところに帰り、自分の道を歩いて行く。
新八だってここを去っていくだろう。
だけど今は…
もう少し、このままで…
「おやすみ、神楽」
この穏やかな時間を、お前と過ごしていたい。
俺は目を閉じ、神楽の寝息を聞きながら、意識を手放した。
この時の俺は、この時間があんなに呆気なく壊れてしまうなんて、微塵も思っていなかった…
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