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「ん…」
鳥の鳴き声と窓から零れる日の光で目が覚めた。
隣で寝ていたはずの神楽はもうすでに起きているらしく、布団には俺がけが横たわっていた。
二度寝すっかなァ…
どうせ今日も仕事ねェし。
そう思って目を閉じ、再び眠りをつこうとすると…
「…ッ!?」
やけに焦げ臭い匂いが、俺の鼻孔をくすぐった。
神楽のヤツ…なんややらかしやがったな…
俺はダルそうに身体を起こすと、台所へと向かった。
そこには案の定、神楽がいた。
「何してんの?」
俺が後ろから声をかけると、神楽の肩がびくっと震えた。
ゆっくりと振り返ったその顔には、うっすらと涙が浮かんでいる。
「ぎ…銀ちゃん…っ」
神楽はいきなり抱きついてきた。
いきなりの事で一瞬驚いたが、すぐに気を持ち直した。
神楽の頭をよしよしと撫でてやった。
神楽は嗚咽を漏らしながら、俺の胸にしがみついている。
一体何やらかしたんだ?
そう思って台所を覗くと、魚の形をなんとか留めている黒い物体が、皿の上に転がっていた。
「なるほどね…」
つまり、魚を焼こうとしたら焦がしちまったんだな。
…って、あれ?
今日は俺が当番だよな?
「おい、神楽。なんでお前が朝飯作ってんだ?」
そう聞くと、涙でぐちゃぐちゃの顔を上げ、ぽつりとこう言った。
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