第1章 日常

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「おはようございまーす」 仕事がないので、居間でのんびりくつろいでいると、がららっと引き戸を開ける音が聞こえた。 居間の扉が開き、新八が顔を覗かせた。 「よォ、新八」 「おはヨ、新八」 「おはようございます」 新八はもう一度挨拶をして、ソファーに腰を下ろした。 「それで?」 「んぁ?」 「いや、『んぁ?』じゃなくて仕事ですよ、仕事。まさか今日もないんですか?」 「ないな」 俺が質問に即答すると、新八は大きなため息をついた。 「今日で5日目ですよ、仕事ないの」 「そうだっけ?」 そんなになるのか。 まだ3日目くらいかと思っていた。 「大体よー、こんな不景気なんだから仕事ないのなんて普通だろうが」 「不景気じゃなくても仕事なかっただろうが!」 新八は俺の言葉にシャウトする。 朝っぱらから元気だな。 今日も新八のツッコミは冴えている。 そのツッコミに銀さん、10点あげちゃう。 「今月も給料なしなんて、まっぴらごめんですよ。なんせ月末にはお通ちゃんのライブがあるし、ニューシングルが発売されるんですから」 「うるさいアルなー。仕事がそんなに欲しいなら、自分で探せヨ、ダメガネ」 「ちょっと神楽ちゃん!?ダメガネなんて言わないでよ!」 新八は泣きそうになりながら神楽を見たが、ふんっと目を逸らされた。 .
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