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「僕、仕事探してきます」
新八はそう言って、目に薄く溜まった涙を拭い、立ち上がった。
…と同時に、俺の机の電話が鳴った。
「ったく誰だよ。今からパチンコ行こうとしてたのに」
「仕事やれよ仕事!」という新八のツッコミは完全スルーする。
いちいち相手をするのも疲れるわ。
「もしもし、万事屋ですけど」
俺は面倒くさそうに受話器をとり、対応を始めた。
数分後。
受話器を元に戻して、俺は玄関の方へ歩を進めた。
「仕事だってさ」
「本当ですか!?」
「ああ」
やけに新八は嬉しそうだ。
「それじゃ早く行きましょうよ!」
「残念だったな新八。この仕事は俺個人に頼まれた仕事だ。俺ひとりで行く」
「そんなァ…」
新八はがっくりと肩を落とした。
そんな新八を見て、俺はなだめるように彼の肩にぽんっと手を置いた。
「そんな悲しそうにすんな。仕事は俺ひとりで行くが、給料は出してやるから」
その一言に新八の顔から笑みがこぼれた。
「本当ですか!?」
「ああ。この頃ろくに給料やってなかったからな」
「…この頃どころかずっと貰ってないネ」
神楽の一言に、俺は一瞬うっと息詰まり、ごほんと咳払いをした。
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