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「と言うかよー、個人指名とか俺も結構有名人だよなー」
にやにやしながら話すと、新八は明らかに殺気をはらでいる目で、俺を睨みつけた。
それどころか、殴りかかろうとする自分の右手を必死に止めている。
皆さーん!
最近の餓鬼はすぐキレるから、気をつけましょう!!
「とにかくだ。行ってくるぜ」
俺は右手を軽く上げ、玄関へと向かって行った。
「行ってらしゃーい」
「行ってらしゃいヨー」
背中から声をかけられる。
振り返ると、ふたりがにっと笑いながら俺に手を振っていた。
なんだかんだ毒づいても、笑顔で送り出してくれる。
そんなふたりを見て、自然と笑みがこぼれた。
俺もふたりに笑いかけ、依頼者のところへ向かった。
この時、気付くべきだったんだ。
万事屋が3人でやっている事は、この江戸じゃ至る所に知れている。
なのに、俺だけで来てほしいだなんてのは、おかしいという事に…
この仕事の依頼が、この後訪れる悲劇の始まりだという事に、俺達はまだ、気付いていない…
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