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「おい優也。なにぼんやりしてんだ?エロい妄想でもしてたのか」
高校二年目の春が始まってから数日。
休み時間に教室の窓から差し込む温かい日差しと、心地よい風を感じながらぼんやり空を眺めていた俺に、誰かが話しかけてくる。
「なんだよ達也。お前じゃないんだから、妄想なんてしねえよ。それもこんな昼間から」
外の景色から達也へと視線を移し、右手を額に当てて呆れたというポーズをとる。
「なんだよはねえだろ。さっきから言ってるのによ。神崎が呼んでるぜ。お前の天使様がな」
達也はニヤニヤしている。
「笑い方がエロい。てかキモいな」
椅子を引き、立ち上がりながら軽く笑ってやる。
「う・・うるせえ! 自分がちょっとかっこいいからってよ! このナルシストめ! 」
俺がいつナルシストになったんだ。
「ちげーよ」
そんなことを言っている達也に背を向けて歩き出しながら、軽く左手をあげて答えた。
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