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夜の繁華街は、昼間とはまた違った賑やかさを見せる。
Γ男のスーツ姿ってなんかいいですよねぇ」
あ、そのネクタイ緩めてるところとか!
指をさしてキャハハ、と笑う女はだいぶ酔っているのだろうか。
高いヒールが危なっかしかった。
ふらついたのかわざとなのか、掴まれた腕を適当にあしらう。
香水のキツい匂いがぐっと入ってきて、むせそうになるのを堪えた。
数メートル先を歩く上司にも、すらりとした女がもたれるように寄り添っていた。
なんとも言えぬ気持ちで後ろからそれを眺める。
Γお、ここだここだ」
上司が立ち止まり建物を見上げる。
でかでかと店名と共にキャラクターの描かれている有名チェーン店。
ここであの男は働いているのか。
…道端で吐くぐらいだし相当キツいんやろか。
そんなの知らんとも言いたげなとぼけた顔をしているキャラクターを見上げながら、店の中へ入っていった。
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