おやすみなさい 【1】

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いつもの帰り道なのに、その日はなにか違和感を感じた。 何かが違うのに、それを見つけることが出来ない。 疲れのせいなのか、と思い目を擦り薄暗い辺りを見回す。 それでもやっぱりもどかしくて、小さな電灯の下で立ち止まった。 自分の足音がなくなると、シンとした静寂に包まれる。 遠くで救急車が通りすぎるのがわかった。 なんもない。 諦めて歩きだそうとした時、不意に動物とも人間ともつかないうめき声のようなものが聞こえてきた。 思わずビクッとなる。 何事かと内心怖気づきながらも、その声のもとを探る。 …あぁ、これだ。 いつもと違うものがわかった。 一本先の電柱に取り付けられた電灯の明かりに照らされる影。 違和感のもとは、不自然に伸びているこの影だ。 そしてその影を辿ると、どうやらそこからうめき声がしているようだった。 ゆっくりと近寄ると、 そこにいたのは電柱の下でうずくまる小さな背中だった。 .
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