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その男は足元から腰、胸と順に見上げ、そして目が合った。
体格からいって俺よりも年下だろうとは思っていたが、想像よりもずっと幼かった。
差し出したハンカチに目を落とすと、いいのか?というように再び俺を見上げた。
Γええよ」
ほれ、とハンカチを手に持たせた。
ぎこちなくそれを受け取ると、黙って口を拭う。
男の大きな瞳に電灯の明かりが映りこんで、濡れて光っていた。
はぁ、と一息つくと同時に、男が立ち上がった。
Γ…助かりました。ありがとうございました」
へこ、と一礼をする。
なんや、こいつも関西人か。
独特のイントネーションに懐かしさを覚える。
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