予告状

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「この武藤家と言うと、やはりあの武藤家でしょうか?」  それまで黙り込んでいた大藪は私の言葉に当然という風に頷いて見せた。武藤家を知らない等とんでもないとでも思っているのかもしれない。 「まあ、この辺で名画を所蔵する武藤家と言えばあそこしかないだろうな」  私たちは日本の油彩画界で今もっとも有名な武藤嚆矢を思い浮かべていた。 「しかし、武藤嚆矢の絵画で壺中美人というのは今まで聞いたこともないが」  室田警部補は予告状を前にして首をかしげる。
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