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「きゃあああ!!」
悲鳴をあげる女子。
「はあ?」
呆気にとられる男子。
反応は様々。とにかく、何が起きたか理解できない。
一体なんなんだ、これは?
黙っていたかと思えば、いきなり叫び出した。
こいつら、普通じゃない。
目が血走っている。
「さて……」
彼らは懐から何かを取り出した。
それは、映画やドラマで見る物に酷似している。
銃……?
「死にたくなかったら我々の言うことに従ってもらうぞ。」
そう言い、座席に座っている早見の頭に銃を突きつける。
「な、なにを?」
早見はひどく驚嘆している。
「銃を見るのは生まれて初めてか?これなら実感が沸くだろう。ほら、立ちな。」
早見を立たせる。
銃を仕舞い、代わりに鋭利なナイフを取り出した。
「く……!」
そして、早見の首にナイフの先を当てた。
「う……ぁ……」
早見の首から、僅かな量の血が流れた。
「いやあ~もっとぐちゃぐちゃにしてやりたい!」
心の底から楽しんでいた。
「や、やめてください!」
このままじゃヤバいと思い、俺は立ち上がり、叫んだ
「そうムキになるな。こんなのは余興だよ。」
ナイフを素直に下げてくれた。
ほっとした……
呼吸数と心拍数が上がり、手が震えだす。
「落ち着け、聖斗……。」
「ああ……」
そっと座席に座る。
「だ、大丈夫早見君?」
震えた声で女子が言う。
「大丈夫だ……」
首から流れた血を手で拭う。
「みんな、とりあえず大人しくしよう。」
なんとか冷静さを取り戻す。
ガチャ……
不意に、バスの扉がゆっくりと開いた。
「弘……?」
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