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一番後ろの座席に座っていた茶髪の男……門原(かどはら)が怒鳴り散らした。
三年の一学期の始めに他校から転入してきた門原。
転入してきた当初から、弘や大和、他のクラスメイトとトラブルを起こしている問題児……
先に突っかかっているのは、いつも門原の方からで、警察沙汰にもなったこともある。
転入してくる前は、少年院に入っていたという噂もあった。
そのような事情で、最後まで門原には一人も友達が居なかった。
門原は普段から学校を休む事が多かったので、まさかこの遠足に来るとは思っていなかった。
「役たたず共が……通報するならちゃんと隠れて通報しろや!」
「門原……!」
あまりに不謹慎な発言に、先程まで意気消沈していた弘がキレた。
「あー、うるせーよ偽善者。てめえも俺と同じこと思ってんだろ?」
「そんな訳無いだろ!」
「おい、門原とかいうガキ……あまり粋がるな。殺すぞ。」
従業員が脅しに銃口を向ける。
いつもなら、弘と門原の喧嘩が勃発していたが、今は状況が違う。
いくら弘や門原でも、銃を持った複数の人間相手には、沈黙せざるを得ない。
「ちっ……すいませんでしたー。」
若干棒読みだが、門原が謝った。
「さてと、出発だ。」
バスのエンジンがかけられる。
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