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《聖斗視点》
大和が登っていってから暫く時間がたった。
「ん?」
「なんか変な音しない?」
ハシゴの上から、音が聞こえてきた。
音は次第に大きくなっている。
ハシゴにぶつかりながら、何かが落ちてきているようだ。
まさか……
そして、落ちてくる物の正体も見えてきた……
「大和!!」
「きゃああああああ!!」
「う……」
落ちてくる大和の体が、酷い状態になっているのがわかり、思わず目を閉じる。
そして大和は、無惨な姿で俺達の所に帰ってきた……
恐る恐る目を開けてみると、ボロボロになった大和がいた。
腕や脚、首すらもありえない方向に曲がっている。
身体中が腫れ、傷だらけになっていた……
「……」
俺達は、大和の亡骸を前に、ただ泣くことしか出来なかった。
「これは痛かっただろうな。」
川口が大和を見下ろしながら言う。
その表情は、とても愉しげだった。
「次、登ってもらうか。」
さっきまでは簡単だと思っていたが、大和の死によって、状況は一変した。
だが、誰かが登らなくてはいけない。
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