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全員揃っての夕食を終え、プレゼントを受け取る。
お父さんは図書券。
毎年、誰にたいしてもこれなのはどうだろう?
お母さんは料理の教本。
目玉焼きすら消し炭にする私に、イタリア料理など作れるだろうか?
お姉ちゃんからは万年筆。
いや、これは成人祝いでは?
言っちゃ悪いが、今年は微妙だ。
最後は兄さん。
せめて、去年の修正テープつきボールペンより良いものでありますように。
紙袋の大きさは一抱えほど。
文房具の類いではないだろう。
意を決して、開けてみる。
中身は白の布地。
まさか、裁縫の練習セット、なんて落ちなのか?
取り出したそれは、
「ワンピース?」
飾り気のない、シンプルなデザインのワンピース。
これから来る夏にぴったりの涼しげなそれは、間違いなく兄さんのチョイスらしい実用性重視。
袋をよく見ると地元商店街の少しお高い服屋のマーク。
家から離れた場所にあるそこは、誕生日プレゼント等で格安でオーダーメイドできるサービスをやっていたはず。
兄さんは、私のためにずっと前から用意してくれていたのだ。
子供みたいに拗ねていた自分が少し恥ずかしい。
兄さんはそんな私の頭を撫でると、にっこりと笑っていった。
「葉月、誕生日おめでとうございます。」
ふんだ。
別に兄さんにそんなこと言われたって、たいして嬉しくなんか……
全く、私をあんなに心配させて。
私は今日はじめて、このせりふを口に出した。
「兄さんのばか。」
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