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「弟の言うことに間違いはないわ」
面倒臭そうな息を吐きながら髪をかきあげる姉さん。
「でもね、葉月の心遣いに感謝するくらいの度量は欲しいわよ?
気持ちはわかるけど、頭ごなしの否定で人は成長できないんだから」
「「…………」」
姉の言葉に、なんの反論もできない俺と葉月。
全く、こういうときだけは年長者らしいですね、この姉は。
いつもはボケーッとしてるだけの大和撫子が、こういうときだけ頼もしい。
というより、三角巾が似合いすぎです、この日本の母が。
「ほら、座りなさい葉月。
これ飲んで、少し落ち着きなさいな」
葉月に透明な液体の入ったグラスを渡す。
それを一気に干す葉月。
ん? 一寸まさかその色合いはっ!?
「ぶっ!? な、何ですかこれ?
に、日本酒……?」
一気に顔を真っ赤にした葉月が倒れる。
……なんとベタな。
「あらあら、情けないわね葉月。
たった一杯で倒れるなんて」
黙れうわばみ。
「弟、葉月を部屋に運んであげなさい。
亭主でしょ?」
「彼氏です!」
自分で言っていて恥ずかしくなりました。
赤い顔を誤魔化すように葉月を抱き上げ、急いで居間を辞す。
「若いっていいわねぇ。
しっかりやんなさい。 私もこれで彼氏呼べるから」
姉の呟きに気付かぬままに。
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