第二章 In 妹 Dream

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葉月の部屋は鍵がかかっていたため自室に運ぶ。 下心はありませんよ? ……多分。 ベッドに横たえ、乱れた髪を整えてやる。 「君が、俺のためを思ってくれたことはわかっています。 それなのにあんな言い方をしてしまって、すみませんでした。 大好きですよ、葉月」 頭を撫でると、葉月が微かに笑った、そんな気がした。 「に……さん」 うっすらと葉月が目を開く。 「気が付きましたか」 頭を撫でていた手を止める。 「や……、止めちゃ、や」 ……え? 「お兄ちゃん、もっと撫でて?」 ……酒のせいで幼児退行してらっしゃる!? 「お兄ちゃん、どうして撫でてくれないの……?」 衝撃に止まっていた脳が、葉月の不安げな声に正気を取り戻す。 兄としての本能、なめないでもらいたいですね。 「葉月が美味しいご飯作れなかったから、嫌いになっちゃったの……?」 今にも泣きそうな葉月を抱き締める。 「そんなことはありません。 俺は、葉月のことが大好きですよ」 指ですくように髪を撫でる。 ん、と葉月が声を漏らした。 「本当……? 本当に葉月のこと、好き……?」 俺の顔を真っ直ぐに見つめる葉月。 潤んだ黒目がちの瞳が揺れる。 「はい」 きっぱりと、不安を断ち切るように答えます。
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