第三場

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浩司「あああっ!」 このえ「……」 浩司「今の……万引きじゃあ……?」 このえ「……そうですね」 浩司「何で……そんなあっさりしているんですか……」 このえ「何でって……」 浩司「普通なら、追うなり警察に連絡するなり、するでしょう!」 このえ「なら、あなたがやってください」 浩司「どうして、そんな……! あなたの店でしょう!」 このえ「そうですね。私の働いている店です」 浩司「ならなんで……」 このえ「あの子は……本当なら、ああいうことをする子じゃないと思うんです……」 浩司「……?」 このえ「だから、ヘタに手をだして辛い思いをさせるよりも、黙って見逃した方がいいんじゃないかと思うんです……」 浩司「それは……」 このえ「わかってます、ずれたことを言っているって」 浩司「……」 このえ「でも、私にはこれ以上のことが思い浮かばないんです……」 浩司「……」   無言の空間。両者動かない。真剣な空気。 浩司「……帰ります」 このえ「そうですか……」 浩司「……困っている人の手助けをするのは、黙って見ていることじゃないと、俺は思います」  このえ「……」  浩司「……また来ます。待っててください!」  このえ「! 来ないでください!」   浩司、店から出る。  このえ「………………まっすぐな、ひと……」   このえ、一人、呟く。   暗転(時間の経過)。  
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