6人が本棚に入れています
本棚に追加
時間が経過し、やがて、浩司が戻ってくる。
浩司「……捕まりませんでした」
このえ「そうですか」
浩司「……なんでそんなあっさりしてるんですか」
このえ「何で……って」
浩司「万引きですよ！？」
このえ「……ええ」
浩司「どうするんですか」
このえ「どうもしません」
浩司「それじゃ、何の解決にもならないでしょう！」
このえ「解決してどうするんです」
浩司「解決してどうするどうしない以前の問題でしょう！ 犯罪ですよ？」
このえ「解決されるのは私たちの問題だけです」
浩司「……は？」
このえ「あの子の問題は解決されません」
浩司「あの子の問題って……」
このえ「……きっと、お金に困ってるか、してるんです」
浩司「人のことを、勝手に決めるものじゃないと思いますけど」
このえ「……」
浩司「どうなんですか」
このえ「……あなたが口を出すことじゃないでしょう」
浩司「好きな人が過ちを犯しそうなのに、黙って見ていることなんてできません」
重苦しい沈黙。時間だけが過ぎる。
このえ「……もう……帰って下さい……」
浩司「……」
このえ「帰って下さい！」
浩司「……わかりました」
浩司、店から出る。このえが一人、残る。
このえ「そんなこと、わかってる……」
暗転（時間の経過）。
最初のコメントを投稿しよう！