第一場

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  おしゃれな洋服屋。店内には、店員の少女(高橋このえ)と若いサラリーマン(佐々木浩司)。 浩司「あなたが好きです。結婚してください!」 このえ「は?」 浩司「ずっと前から、あなたが好きなんです!」 このえ「……」   浩司の勢いに驚くこのえ。引いている。 浩司「だから、結婚して下さい!」 このえ「……どうして?」 浩司「あなたが好きだらです!」 このえ「諦めてください」 浩司「何でですか!?」 このえ「私たち、初対面でしょう。そもそもいきなり求婚されて、うん! って、うなずく馬鹿がどこにいるっていうんですか」 浩司「え」 このえ「いい迷惑です、全く」 浩司「迷惑って! 俺は本気です!」 このえ「はあ? 本気なら、いきなり結婚なんて言わないでしょう」 浩司「あ、ちなみに俺は、佐々木浩司と申します。高橋このえさん……でいいんですよね?」 このえ「なんで私の名前……」 浩司「調べました」 このえ「……え?」 浩司「好きな人の名前くらい、知っていて当然です!」 このえ「はあ……」 浩司「俺は本気なんです」 このえ「だから、本気なら、いきなり結婚なんて言わないでしょうに。こういうことには、手順っていうものがあるんですから」 浩司「昨夜一晩、一睡もしないで考え続けたら、もう直球に言うしかないだろうと思って……」 このえ「……その唐突さ……睡眠不足のあまり思考回路がおかしくなったんですね」 浩司「眠いなんて言ってられません! あなたに、愛の告白をするために、今日、俺はここにきたんです!」 このえ「うざったらしいからやめてもらえますか。本当に迷惑なんです」 浩司「(聞いていない)それで、お返事を聞かせてください!」
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