私、鷹山 奈々!関取です!

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すると歓声が起きた。 どうやら決着が着いたのだろう。 「な、なんだ……。」 俺は晶の頭を撫でていた手を止めた。 「終わったのかな……。」 瀬尾は悲しい顔をした。 少し震えてもいた。 俺は面倒くさがりだが、女性が泣く悲しむ所を見るのはどうもすかん。 俺は何も考えず、瀬尾の頭を撫でた。 少しは楽になってもらえばと。 「大丈夫だ瀬尾。俺も大丈夫だし、瀬尾は何も心配いらないよ。」 まぁ、少しは楽になったかな? 「…フフフフ…。」 瀬尾はニコッと微笑み笑った。 「ん?どうした?」 「慶くんってよく頭を撫でますね。」 「あぁ!わりっ。嫌だったか?」 「いえ……。むしろ、暖かくてとても好きです。」 瀬尾は俺の手をとり手の平を頬に当てた。 「そうか……。それは何よりだ!」 「あ!瀬尾ずるーい!慶っちあたしも!」 「あぁーはいはい。」 ったく、咲と美菜子に撫でたくせが取れないな。 そんなに俺の手がいいんか? 「「うおおースゲー!!」」 再び歓声が起きた。 あれ? 俺なんか忘れてないか……。 「ああー!鷹山ー!」 慶治は晶と瀬尾を離して、人込み中へ走って行った。 「本当に慶くんは優しいですね。」 「ね。慶っちは皆に優しいね。」 微笑む晶と瀬尾だった。 「鷹山大丈夫か!?」  
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