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『ねぇねぇ慶くん!』
『な~になぁちゃん?』
『あと、大きくなったら二人で……になろうね。』
『うん!約束する!』
幼い5歳位の男の子と女の子が二人、公園でブランコに乗りながら約束をしていた。
『絶対だよ!破ったら駄目だからね。』
『うん。二人で頑張ろうね!』
だが、近所だった男の子が引っ越しをしてしまう。
自家用車に淋し気に乗って辺りをキョロキョロする男の子。
『どうしたの慶ちゃん?誰かまってるの?』
『うう~ん。』
母親に聞かれたが、首を横に振った。
『すまんのぅ。父さんの用事でな……。誰か友達にお別れを言ってきたのか?』
『大丈夫だよ…。』
大丈夫の顔では無かった。
明らかに淋しい顔をしていた。
男の子はやはり誰かを捜す様に辺りをキョロキョロする。
『時間だ…。なら行こうか…。』
結局誰も来なかった。
男の子は黙って、車に乗る。
すると……
『慶くぅ~ん!』
『あ!なぁちゃん!』
女の子が息を切らせて走ってきた。
『ハァハァ。慶くんお別れは寂しいけどあたし、慶くんをちゃんと見送るよ。』
『なぁちゃん…。』
男の子は目を潤ませた。
『もう、慶くんは泣き虫だな。また、泣いてるの?』
『な、泣いてないもん。』
男の子は顔を涙でぐしゃぐしゃにしていた。
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