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勢いそのままに突きを繰り出す、だが唯も剣を縦にして突きの軌道を反らす。そして逆に突きを放つ。
「わぁ、危な」
唯の突きは由姫の頬を掠める程度に終わり、お互いにその場から飛び退く。
そこからは中等部時代の基礎訓練でやっていた剣術のお陰か唯が優勢で闘いは進んでいた。
方や由姫は慣れない長物に戸惑っていた。
「っう」
「ハァ!!」
防戦一方になっていた由姫に止めと言わんばかりに渾身の力を込めて突きを放つ。
ギン、と音をたてて由姫の手元から槍が弾き飛ばされカランと音をたて床を転がる。
「あぁ~負けたー」
とても悔しそうに床に転がっている槍を拾いにいく。
「いや、私もギリギリだったよ」
と言いながら魔器を髪飾りに戻す。
「じゃあ今の反省会でもしようか」
「そうだな、由姫は自分のどこが悪かったと思う?」
「うーん…慣れない武器だったから使い方って言うか型がわからなかった」
「それもそうだけど、もう一つあると思うよ?」
唯が由姫の反省点を指摘する。
「?、どこかな?」
「射程だろ」
「確かに、仕方ないことだけどあれは剣の間合いと対して変わらない感じだったね」
「あ、なるほど」
由姫はしっかりと指摘された点を頭の中で反復する。
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