昔話~力の目覚め~

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拘束具を持った団員は少年を見るや一歩後ずさる。 「何だ、どうした?」 リーダーらしき男は団員に問いかけ自分も少年を見やり絶句する。 少年の美しい銀色の瞳が蒼き輝きを放っていた。 「な、覚醒した!?早すぎる」 リーダーおぼしき男が狼狽する。 「ねぇお父さんとお母さんを返して?」 少年は子供らしい無邪気な笑顔を騎士団員に向ける。 故に団員全員が恐怖した。そして理解した。 自分達の目の前にいるのは化け物だと。 「ねぇ早く」 少年は一人の団員と視線を絡める。 次の瞬間、 「止めてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!」 男はそこで事切れた。身体に一切の外傷はない、精神が彼の心が生きる事を放棄したからだ。 仲間の死を見てリーダーが真っ先に我に返った。 「何を臆している!死なぬ程度なら構わん!!やれ」 団員が全員詠唱に入る。 「返してくれないの?ならもういいや」 そして少年は最初よりも激しく光を放つ蒼銀の瞳で団員全員を見据える。 瞬間、無数の言葉の雨は止み、代わりに阿鼻叫喚が場を支配した。 騎士団全員が地に伏したのと同時に、 「お父さん、お母さんごめんね僕のせいで、ごめん…なさい……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」 少年はその場に踞り大声を上げて泣き続けた。 瞳は美しい銀色に戻っていた。
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