146人が本棚に入れています
本棚に追加
「そしてその子供は幼なじみの家に引き取られたが直ぐに自立した。
子供は幼なじみに恩を返すために、自分の身を守るために、両親の仇をとるためにひたすらに力を求めましたとさ」
そこまで話し鏡夜は立ち上がる。
「すまない、飲み物を出してなかったな」
そう言って鏡夜はキッチンへと消える。
「今の鏡夜のことだよね」
「うん、僕達は無神経だったみたいだ」
二人を暗い沈黙が包んだ。
「おいおい、何暗くなってんだ?」
「すまなかった、余りにも無神経だったよ」
「ごめんなさい」
二人は深々と頭を下げる。
「止めてくれ、だから俺の気持ちは黙っててほしい」
緋澄と由姫は黙って頷く。
それと同時にリビングのドアが開く音がする。
「何を黙ってるの?」
鏡夜は絶句する。
「いや、何でもない」
「私だけ仲間外れ?」
それまで流れていた気まずげな空気はどこえやら、
唯は頬を膨らませている。
「唯、別に大したこと話してないよ」
「そ、そうだよ」
由姫と緋澄も鏡夜に加勢する。
「あー皆で私を仲間外れにするつもり?」
唯は悲しそうに部屋の隅で膝を抱えていじけてしまった。
鏡夜はこの状況に盛大に一つ溜め息を吐かずにはいられなかった。
最初のコメントを投稿しよう!