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青年は食堂の向かい側にある階段を登り、自分の部屋へと向かう。
長い階段を部屋のある階まで登りきると、目の前の廊下の窓から夕焼けで朱く染まる街が見えた。
4年前、戦場となったこの街は、既にその爪痕を消し去っていた。残っているのは、その日、この街を守るために戦い、戦死した兵士達への慰霊碑ぐらいだ。
「…………4年……か……」
青年はそんな街を……いや、夕日を見て呟いいた。
4年という時間は、街から傷跡を消す。
戦場でたくさんの人が死に、彼らが守った街でたくさんの人が生まれる。
そして、少年を青年へと成長させる。
「先輩!せんぱーい!!」
夕日に見入っていた青年の後からそんな声がした。
どうやら青年の事を呼んでいるらしい。
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