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◇◇◆◇◇
「ゆずる……優香ちゃんは……」
優香の部屋の外へ出ると、ゆずるは優しげな面持ちの少年に出迎えられた。いとこの双子の弟の方、和久(かずひさ)だ。
「たぶん夢魔だ」
「夢魔……西洋の悪魔だね。僕は、西洋系にはあんまり詳しくないからなぁ……」
「ちゃんと調べてみないと、確かなことは言えないさ。違うかもしれないし、退治法もわからない」
「そうか……じゃあ、本家に行かないとね」
「そうだな。……直を呼んでくれ」
「直ちゃんを?」
まるで珍しいものでも見た、とでも言いたげに、和久が目を丸くして覗き込んできた。その視線から逃れるように、すっと背を向ける。
「いつもは、邪魔だっていて呼ばないじゃない」
ニヤニヤと、含みのある笑みまで浮かべている。
「くだらないことを言うな。今は猫の手も借りたい。時間が惜しい。先にいくぞ」
五秒後、二つの人影が一瞬にして消えた。
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