6 鬼ごっこ

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   落ち着け。  落ち着くんだ。 『手の中のお守りに意識を集中して』 (集中……)  優香はゆっくり目を閉じる。  と、途端に、優香の小さな手の中の、数センチほどしかない布袋から、かすかな青白い淡い光が放たれだした。しかし、その光はあまりに弱弱しく、優香自身も気づかないほどであった。 『集中して……集中して……そして、俺の名を呼べ!!』  ふいに優香の瞳が力強く開かれた。 (お兄ちゃんっ、助けてっ!!)  まるで爆発が起きたかのように、青白い光は一気に輝きを増した。  ◇◇◆◇◇  ゆずるは素早く辺りを見回した。  プールの排水溝の先は、また小学校の校舎内のようだ。いったい校舎のどこに飛ばされたのだろう。  最初の教室にもどった、ということはない、と信じたいが、夢の世界ではそれもあり得ないとは言い切れない。  そんなことを考えながら、ゆずるは恐る恐る目を開けた。 『今度はどこに入口があるんだ?』  狭苦しそうに頭をもたげて、妖狼が言った。
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