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「見つけた」
ゆずるが呟くと、妖狼は耳をぴくりと起こして反応する。
『どれだ?』
ゆずるは、音楽室の後ろの隅にある、縦長の掃除用具入れを指さした。
「あれだ」
『なるほど。なれば早くおさらばするとしよう。ここは狭くてかなわん』
「お前、小さくなれるだろう?」
ほふく前進をしながら、掃除用具入れに近づいていく妖狼に、ゆずるは当然の疑問をぶつける。
『おほ! その手があった』
「……」
とその時だった。
――――………っ!!
ゆずると妖狼は、同時に動きを止めた。
顔をこわばらせ、妖狼を振り返ったゆずるの声が、喜びに震える。
「……今のは……優香だ」
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