6 鬼ごっこ

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  「見つけた」  ゆずるが呟くと、妖狼は耳をぴくりと起こして反応する。 『どれだ?』  ゆずるは、音楽室の後ろの隅にある、縦長の掃除用具入れを指さした。 「あれだ」 『なるほど。なれば早くおさらばするとしよう。ここは狭くてかなわん』 「お前、小さくなれるだろう?」  ほふく前進をしながら、掃除用具入れに近づいていく妖狼に、ゆずるは当然の疑問をぶつける。 『おほ! その手があった』 「……」  とその時だった。  ――――………っ!!  ゆずると妖狼は、同時に動きを止めた。  顔をこわばらせ、妖狼を振り返ったゆずるの声が、喜びに震える。 「……今のは……優香だ」
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