3902人が本棚に入れています
本棚に追加
気が狂う。
こんな所に置き去りにされたら、正気ではいられない。それだけは確かだ。
途端に足がすくんだ。
かくかくと膝が笑う。
どうしよう。
一人ぼっちにされたら――――どうしようっ!!
頭の中が、後から後からわき上がる恐怖で今にもパンクしそうになる。
怖い。
嫌だ。
もう無理だ!
怖い怖い怖い!
暗闇に押しつぶされそうで、叫びそうになったその時だった。
「もうすぐだ」
まるでどん底にいる直久の心に一筋の光が差し込むようだった。
「もうすぐ出口だから」
ゆずるが、自分を安心させようと言ってるのがわかった。同時に、その時初めて、自分が息を止めて歩いていたことに気づかされる。
最初のコメントを投稿しよう!