6 鬼ごっこ

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   大丈夫。  心配するな。  笑顔こそ見せないが、振り返ったゆずるの瞳がいつになく優しくて。  ほっとした。  ほっとしたら、強ばっていた自分の体から力が抜けた。  涙がでそうになった。  よかった。  ゆずるが一緒でよかった。  大丈夫。  俺は一人じゃない。  大丈夫――。 「絶対……」  直久は思わずつぶやいた。 「絶対、三人で帰ろう」  優香を見つけて、誰も欠けることなく。  無事に、皆で帰ろう。  ――帰るんだ。  自然と、ゆずるの手を握る右手に力がこもる。するとゆずるがその手を握り返してくれた。 「ああ。皆で帰ろう」  ゆずるは、柔らかな笑顔になった。  その瞬間、直久は自分の胸が跳ね上がるのを感じた。
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