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直久が勢い余って走り出した。
今度は直久に引っ張られるようにしてゆずるが走り出した。
「待て、そっちじゃない! こっちだ!」
「なぬっ! 早く言えよ」
「お前が勝手に走りだしたんだろうが」
この時の直久には、分かっていなかった。
直久のその笑顔が、ゆずるにどれほどの力を与えていたのか。
今の直久の存在が、どれほどゆずるに勇気を与えているのか。
直久がそれを知るには、まだまだ時間を要するようだ。
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