6 鬼ごっこ

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 直久が勢い余って走り出した。  今度は直久に引っ張られるようにしてゆずるが走り出した。 「待て、そっちじゃない! こっちだ!」 「なぬっ! 早く言えよ」 「お前が勝手に走りだしたんだろうが」  この時の直久には、分かっていなかった。  直久のその笑顔が、ゆずるにどれほどの力を与えていたのか。  今の直久の存在が、どれほどゆずるに勇気を与えているのか。  直久がそれを知るには、まだまだ時間を要するようだ。  
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