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◇◇◆◇◇
何処までも続くと思われた暗闇は、ゆずるの予告通り、突然終わりを迎えた。
直久たちは、目の前に突如として出現した金属の引き戸の前に仁王立ちしていた。
「開けるぞ」
そう言ったのは直久の方だった。
すっかり元気というか、普段の調子を取り戻した彼は、若干の躊躇を見せたものの、持ち前の思い切りの良さで、その引き戸をいっきに開け放った。
だが、すぐに直久は小首を傾げた。扉は見た目よりも重さが感じられず、襖(ふすま)でも開いたかのような感触を覚えたのだ。肩すかしをくらった気分である。
(軽っ!! ゆ、夢だからかっ!?)
一瞬自分が怪力になったのかと錯覚しそうになったが、それもすぐにどうでもよくなった。
扉の向こうに広がっていたのは――。
「体育館……?」
直久の記憶にもしっかりと残っている。直久たち双子、そしてゆずるが小学校の卒業式を行ったのも、この場所なのだから。
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