6 鬼ごっこ

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  「ゆずる?」 「こいつだ」  ゆずるが唸るように言った。 「こいつが、夢魔だ」 「え? 夢魔ってつまり……」 「優香を連れ去った張本人だ」 「ええっ!?」  だって、出会ったらまずいんじゃなかったか?  ゆずるの力でも敵わないって言ってなかったか?  つまり。  これって。 (大ピンチーーっ!?)  がーんと、後頭部を殴られたような衝撃が、直久の全身を駆け巡った。  しかしながら、直久が機能停止していたのは数秒のこと。こういう時の直久は頭の回転が恐ろしく速い。すぐさま踵を返した。 「やばくない!? いや、やばいって。帰ろう。今なら間に合う。気持ちよさそうに歌ってる間に、お暇しようぜ! そうしよう、引き返そう」  ところが、直久の首根っこをゆずるが引っ掴む。 「無駄だ。とっくに気づかれて、閉じ込められた」 「ひえええええ」  気持ちよさそうに歌う夢魔の声が、さらに直久を恐怖に凍りつかせていく。
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