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「直!」
ゆずるが急に直久の腕を引っ張って体育館中央へと導いた。
どうしたのかと背後を振り返る。
猫だ。
直久の背後にいつの間にか黒ネコが座っていた。
どこからきたのだろう。ずっと直久たちの後を追いかけてきていたのだろうか。
首をかしげていると、すぐ隣でゆずるがさらに体をこわばらせるのがわかった。
何だろうとゆずるの視線を追う。
「なっ!」
右も左も黒ネコが座ってこちらを見ている。一匹ではない。
まさか、と思い背後を振り返る。
――増えてる!
「囲まれた」
ゆずるの声がかすかに震えていた。
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