6 鬼ごっこ

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  「直!」  ゆずるが急に直久の腕を引っ張って体育館中央へと導いた。  どうしたのかと背後を振り返る。  猫だ。  直久の背後にいつの間にか黒ネコが座っていた。  どこからきたのだろう。ずっと直久たちの後を追いかけてきていたのだろうか。  首をかしげていると、すぐ隣でゆずるがさらに体をこわばらせるのがわかった。  何だろうとゆずるの視線を追う。 「なっ!」  右も左も黒ネコが座ってこちらを見ている。一匹ではない。  まさか、と思い背後を振り返る。  ――増えてる! 「囲まれた」  ゆずるの声がかすかに震えていた。
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