6 鬼ごっこ

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 ゆずるが切り返した。 「今、鬼ごっこしてるんだ。飽きたら食べようと思ったんだよ。でも、飽きる前に君が来た。君がもってる力はあの子の比じゃないよね。だって君は、九堂家の後継者だろう?」  ゆずるは返事の代わりに、夢魔を睨みつけた。 「あれ、でも変だね」  そう夢魔が言い放った瞬間、その姿が消えた。いや、動きが早すぎて消えたように見えたのだ。  ひとつ瞬きした間に、夢魔はゆずるの目の前へと移動していた。 「うわっ」  突然、目の前に現れた不気味な顔に、直久は思わず声をあげ、ゆずるも息を飲んだ。  しかも目線は長身の直久とほとんど変わらない。  声が少年のように高いから、かってに子供のピエロだと思っていたが、中身はともかく見た目は大人のナリをしているらしい。 「ねえ君、本当に後継者なの?」  ゆずるがとっさに何か術を唱え、胸元からお札を取り出した。が、その時には、再び夢魔は少し離れた位置に移動してしまう。 「あれあれ~? おかしいな~」  もったいつけるように言うと、夢魔はくるりとこちらを振り返った。 「だって、君――女の子だよね」  
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