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「てっきりボクは、彼が後継者って呼ばれていると思ってたよ。まあ、その前に、あのお爺ちゃんが、まだ生きてるとは思わなかったけど。けっこうシブトイよね」
(確かにシブトイっ)
夢魔のくせに、意見が一致した。直久は若干複雑な気持ちを味わいつつ、さらに夢魔とゆずるの会話に耳を澄ました。
「まあ、あのお爺ちゃんも後継者が君じゃ、死ぬに死ねないか。あの子は、かなり強い力を持っていたのに、君じゃねー。あの子の足元にも及ばないよ、君」
「……」
ゆずるの唇が小さく震えているのに直久は気がついた。よく見れば、顔も真っ青だ。
(待てよ)
ゆずるよりも強い力を持った、後継者になり得た男。
ゆずるがこんなに過剰に反応を示す男。
(まさか――)
直久の頭の中で、たった一人その答えに該当するだろう人物が導き出される。
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